ひよこ統計

加法定理

統計検定2級

50人に好きな動物を聞いたところ、犬が好きな人が30人、猫が好きな人が25人でした。では、犬か猫のどちらかが好きな人は55人でしょうか。全体が50人なのですから、そんなはずはありません。

食い違いの原因は、両方好きな人を二度数えていることです。この重なりを差し引く関係が加法定理で、2つの事象の少なくとも一方が起こる確率について次が成り立ちます。

P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)
P(A∪B) P(A \cup B) :A と B の少なくとも一方が起こる確率、P(A∩B) P(A \cap B) :A と B がともに起こる確率

引いている P(A∩B) P(A \cap B) が、二度数えてしまった重なりです(和事象・積事象の言葉づかいは 事象と確率 を参照)。したがって、単純に足してよいのは重なりが無いとき——つまり2つが排反のときだけです。排反なら P(A∩B)=0 P(A \cap B) = 0 なので、式は P(A∪B)=P(A)+P(B) P(A \cup B) = P(A) + P(B) に縮みます。

この式は、向きを変えても使えます。P(A∩B) P(A \cap B) のほうを知りたいときは移項して P(A∩B)=P(A)+P(B)−P(A∪B) P(A \cap B) = P(A) + P(B) - P(A \cup B) 。重なりの大きさが直接測れない場面でも、全体と個別が分かっていれば逆算できるということです。

式は3つ以上の事象にも伸びますが、素直ではありません。P(A∪B∪C) P(A \cup B \cup C) は、3つを足してから2つずつの重なりを引き、引きすぎた3つ全部の重なりを足し戻す形になります。引いたり足したりが交互に続くので、事象が増えるほど手に負えなくなります。

冒頭の50人について、両方好きな人が12人だったとしましょう。人数のまま数えると、犬か猫のどちらかが好きな人は 30+25−12=43 30 + 25 - 12 = 43 人です。

猫が好き猫は好きでない合計
犬が好き121830
犬は好きでない13720
合計252550

表で確かめると、犬だけ18人・猫だけ13人・両方12人で、たしかに合計43人です。残る7人がどちらも好きでない人で、これは 50−43=7 50 - 43 = 7 としても出ます。

確率で書き直せば、P(犬)=3050=0.6 P(\text{犬}) = \frac{30}{50} = 0.6 、P(猫)=2550=0.5 P(\text{猫}) = \frac{25}{50} = 0.5 、P(犬∩猫)=1250=0.24 P(\text{犬} \cap \text{猫}) = \frac{12}{50} = 0.24 なので、0.6+0.5−0.24=0.86 0.6 + 0.5 - 0.24 = 0.86 。50人の86%にあたる43人と一致しました。人数で数えても確率で計算しても、引いているものは同じ重なりです。

ちなみにこの例では P(犬)P(猫)=0.6×0.5=0.30 P(\text{犬}) P(\text{猫}) = 0.6 \times 0.5 = 0.30 で、P(犬∩猫)=0.24 P(\text{犬} \cap \text{猫}) = 0.24 とは一致しません。犬好きと猫好きは独立ではない、ということも同じ数字から読み取れます(独立な試行)。

入門問題

全 4 問
問 1

P(A)=0.5 P(A) = 0.5 、P(B)=0.3 P(B) = 0.3 、P(A∩B)=0.1 P(A \cap B) = 0.1 のとき、P(A∪B) P(A \cup B) はどれですか。

問 2

2つの事象 A と B が排反であるとき、P(A∪B) P(A \cup B) はどう表せますか。

問 3

40人のクラスで、自転車に乗れる人が32人、泳げる人が25人、両方できる人が21人でした。どちらもできない人は何人ですか。

問 4

ある町の世帯のうち、新聞を購読しているのが45%、雑誌を購読しているのが30%、両方購読しているのが12%です。少なくとも一方を購読している世帯の割合はどれですか。