試行の結果として起こりうることがらが事象です。これ以上分けられない1つ1つの結果を根元事象、起こりうる結果すべてをまとめた事象を全事象といいます。さいころを1回投げるなら、1の目から6の目までの6つが根元事象で、その全体が全事象です。
「3の目が出る」も「偶数の目が出る」も「4以上の目が出る」も、どれも事象です。つまり、何を1つのまとまりとして扱うかはこちらが決めます。確率を計算する前に、まずその区切りを決めておく——事象という言葉は、そのための道具立てだと考えると分かりやすくなります。
事象は結果の集まりなので、集合と同じように組み合わせられます。

確率には、どの事象でも成り立つ基本の性質があります。どの事象の確率も 0 以上 1 以下で、全事象の確率は 1、決して起こらない事象の確率は 0 です。ここから、余事象について次の関係が出ます。
A が起こるか起こらないかのどちらかは必ず成り立つので、2つを足すと全事象の確率 1 になる——それを移項しただけの式です。単純に見えて役に立ちます。「少なくとも1回は起こる」の確率は場合分けが増えて数えにくいのですが、その余事象である「1回も起こらない」なら1通りで済むからです。
排反な2つの事象は、片方が起これば他方は起こらないと決まります。これは影響が無いどころか、いちばん強く影響し合っている状態です。それでも「どちらも別々のことがら」という語感から独立と混同されがちなので、上の図の右を思い出して切り分けます。独立の側の条件は 独立な試行 を参照してください。
ゆがみのないさいころを1回投げる試行で、次の2つの事象を考えます。全事象は1から6までの6つの根元事象からなり、どれも同様に確からしいとします。
どちらも3通りずつなので です。ここから組み合わせた事象を数え上げます。
| 事象 | 当てはまる目 | 確率 |
|---|---|---|
| 積事象 | 4, 6 | 2/6 = 1/3 |
| 和事象 | 2, 4, 5, 6 | 4/6 = 2/3 |
| 余事象 | 1, 3, 5 | 3/6 = 1/2 |
余事象については、数えなくても と求まり、数え上げた結果と一致します。
和事象で気をつけるのは、 としてはいけない点です。4 と 6 は A にも B にも入っているので、単純に足すと二重に数えてしまいます。重なりぶんを引いて とすれば、数え上げた と合います(この関係が 加法定理 です)。
最後に排反の例も見ておきます。C を「3以下の目が出る」(1, 2, 3)、D を「5以上の目が出る」(5, 6)とすると、両方に当てはまる目は1つもありません。したがって C と D は排反で、 です。このときにかぎり、和事象の確率は引き算なしで と足すだけで求まります。
事象 A の確率が のとき、A が起こらない確率 はどれですか。
さいころを1回投げます。A を「偶数の目が出る」、B を「4以上の目が出る」とするとき、積事象 の確率はどれですか。
ゆがみのないコインを3回投げるとき、少なくとも1回は表が出る確率はどれですか。
さいころを1回投げるとき、排反である2つの事象の組はどれですか。