ひよこ統計

事象と確率

統計検定2級

試行の結果として起こりうることがらが事象です。これ以上分けられない1つ1つの結果を根元事象、起こりうる結果すべてをまとめた事象を全事象といいます。さいころを1回投げるなら、1の目から6の目までの6つが根元事象で、その全体が全事象です。

「3の目が出る」も「偶数の目が出る」も「4以上の目が出る」も、どれも事象です。つまり、何を1つのまとまりとして扱うかはこちらが決めます。確率を計算する前に、まずその区切りを決めておく——事象という言葉は、そのための道具立てだと考えると分かりやすくなります。

事象は結果の集まりなので、集合と同じように組み合わせられます。

2枚並んだベン図。左は全事象を表す長方形の中に円AとBが一部重なって描かれ、重なった部分が濃く塗られて積事象A∩Bと示されている。右は同じ長方形の中に円CとDが離れて描かれ、重なりがない排反な2つの事象を表している。
重なりのある2つの事象(左)と、排反な2つの事象(右)

確率には、どの事象でも成り立つ基本の性質があります。どの事象の確率も 0 以上 1 以下で、全事象の確率は 1、決して起こらない事象の確率は 0 です。ここから、余事象について次の関係が出ます。

P(Aˉ)=1−P(A)P(\bar{A}) = 1 - P(A)
P(A) P(A) :事象 A が起こる確率、P(Aˉ) P(\bar{A}) :事象 A が起こらない確率

A が起こるか起こらないかのどちらかは必ず成り立つので、2つを足すと全事象の確率 1 になる——それを移項しただけの式です。単純に見えて役に立ちます。「少なくとも1回は起こる」の確率は場合分けが増えて数えにくいのですが、その余事象である「1回も起こらない」なら1通りで済むからです。

排反な2つの事象は、片方が起これば他方は起こらないと決まります。これは影響が無いどころか、いちばん強く影響し合っている状態です。それでも「どちらも別々のことがら」という語感から独立と混同されがちなので、上の図の右を思い出して切り分けます。独立の側の条件は 独立な試行 を参照してください。

ゆがみのないさいころを1回投げる試行で、次の2つの事象を考えます。全事象は1から6までの6つの根元事象からなり、どれも同様に確からしいとします。

  • A:偶数の目が出る(2, 4, 6)
  • B:4以上の目が出る(4, 5, 6)

どちらも3通りずつなので P(A)=P(B)=36=12 P(A) = P(B) = \frac{3}{6} = \frac{1}{2} です。ここから組み合わせた事象を数え上げます。

事象当てはまる目確率
積事象 A∩B A \cap B 4, 62/6 = 1/3
和事象 A∪B A \cup B 2, 4, 5, 64/6 = 2/3
余事象 Aˉ \bar{A} 1, 3, 53/6 = 1/2

余事象については、数えなくても P(Aˉ)=1−12=12 P(\bar{A}) = 1 - \frac{1}{2} = \frac{1}{2} と求まり、数え上げた結果と一致します。

和事象で気をつけるのは、P(A)+P(B)=12+12=1 P(A) + P(B) = \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1 としてはいけない点です。4 と 6 は A にも B にも入っているので、単純に足すと二重に数えてしまいます。重なりぶんを引いて 12+12−13=23 \frac{1}{2} + \frac{1}{2} - \frac{1}{3} = \frac{2}{3} とすれば、数え上げた 46 \frac{4}{6} と合います(この関係が 加法定理 です)。

最後に排反の例も見ておきます。C を「3以下の目が出る」(1, 2, 3)、D を「5以上の目が出る」(5, 6)とすると、両方に当てはまる目は1つもありません。したがって C と D は排反で、P(C∩D)=0 P(C \cap D) = 0 です。このときにかぎり、和事象の確率は引き算なしで 36+26=56 \frac{3}{6} + \frac{2}{6} = \frac{5}{6} と足すだけで求まります。

入門問題

全 4 問
問 1

事象 A の確率が P(A)=0.3 P(A) = 0.3 のとき、A が起こらない確率 P(Aˉ) P(\bar{A}) はどれですか。

問 2

さいころを1回投げます。A を「偶数の目が出る」、B を「4以上の目が出る」とするとき、積事象 A∩B A \cap B の確率はどれですか。

問 3

ゆがみのないコインを3回投げるとき、少なくとも1回は表が出る確率はどれですか。

問 4

さいころを1回投げるとき、排反である2つの事象の組はどれですか。