ひよこ統計

一致性

統計検定2級

みかんを5個だけ量って重さの平均を出すと、その値は取り直すたびに大きく振れます。では 50 個、500 個と増やしていったら、どうなるか。個数を増やすほど、出てくる平均は母平均のすぐ近くに集まっていきます。

この「標本を大きくしていけば母数に近づく」という性質を一致性といい、一致性を持つ推定量を一致推定量と呼びます。近づくといっても推定量は確率変数ですから、近づき方も確率で述べます。母数とのずれをどれだけ小さく取っても、それ以上に外れる確率が 0 へ向かう、という形です。

P(∣θ^n−θ∣≥ε)⟶0(n→∞)P\left(\left|\hat{\theta}_n - \theta\right| \ge \varepsilon\right) \longrightarrow 0 \quad (n \to \infty)
θ^n \hat{\theta}_n :大きさ n n の標本から作った推定量、θ \theta :推定したい母数、ε \varepsilon :許すずれの幅(いくら小さく取ってもよい)、n n :標本の大きさ

一致性があるからといって、手元の標本で母数を当てられるわけではありません。近づくのは n n を大きくしていったときの話で、有限の標本では相応に外れます。むしろ一致性は推定量に求める最低条件と考えるのが実際に近く、これを満たさない推定量は、どれだけ手間をかけて標本を集めても報われません。

一致性の定義自体は推定量列の確率収束についてのものです。独立同分布の無作為標本で母分散が有限なら、V(Xˉ)=σ2/n V(\bar{X}) = \sigma^2/n から標本平均が母平均の一致推定量だと示せます。

不偏性と一致性は別の軸です。独立同分布標本で必要な有限モーメント条件のもとでは、nn で割る標本分散は不偏でなくても一致性をもちます。一方、最初の1個だけを使う推定量は不偏でも一致しません。

母分散4の同じ分布から独立に抽出したみかんの重さについて、標本平均のばらつきが nn とともにどう縮むかを並べます。

標本の大きさ1425100
標本平均の分散410.160.04
標本平均の標準偏差(g)210.40.2

この縮み方を確率の言葉に直してみます。母平均から 1 g 以上ずれる確率は、チェビシェフの不等式 を使えば分散を 12 1^2 で割った値で押さえられるので、n=100 n = 100 では 4÷10012=0.04 \frac{4 \div 100}{1^2} = 0.04 以下。同じ計算を n=4 n = 4 でやると 112=1 \frac{1}{1^2} = 1 で、上限が 1 では何も言えていません。n n を増やすほどこの上限は 0 へ向かい、どれだけ小さいずれ幅を持ち出しても同じことが起こります。これが一致性の中身です。

次に、不偏でない推定量が一致性を持つ場合を確かめます。n n で割った標本分散 1n∑i=1n(Xi−Xˉ)2 \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}(X_i - \bar{X})^2 の期待値は n−1nσ2 \frac{n-1}{n}\sigma^2 で、母分散の 45=0.8 \frac{4}{5} = 0.8 倍(n=5 n = 5 )にとどまります。ところが n=100 n = 100 なら 99100=0.99 \frac{99}{100} = 0.99 倍、n=1000 n = 1000 なら 0.999 倍。平均的にずれているのに、標本を大きくすればそのずれは消えていきます。倍率が 1 に近づくだけでなく、この量自身のばらつきも n n とともに縮んでいくので、母分散のまわりへ押し込まれていきます。

反対の組み合わせも作れます。標本の最初の1個 X1 X_1 をそのまま母平均の推定量に使うと、E(X1)=μ E(X_1) = \mu なので不偏です。しかし X1 X_1 の分散は n n をどれだけ増やしても σ2=4 \sigma^2 = 4 のままで、上の表の一番左の列に居座り続けます。みかんを500個量っても2個目以降を捨てているのだから当然で、これは一致性を持たない推定量です。

入門問題

全 4 問
問 1

推定量が一致性を持つとは、どういうことですか。

問 2

有限な母分散をもつ分布から独立同分布標本を取ります。偏差の2乗和を nn で割った標本分散について正しいものはどれですか。

問 3

有限な母平均をもつ同じ分布から独立に抽出するとき、大数の法則と一致性の関係として正しいものはどれですか。

問 4

母分散が 4 の母集団から標本を取ります。標本の大きさを 25 から 100 へ 4 倍にすると、標本平均の標準偏差は何倍になりますか。