幾何分布 は「初めて成功するまでの回数」を扱いました。では、回数ではなく時間を測るとどうなるでしょうか。次の来客まで何分か、部品が壊れるまで何時間か。この待ち時間が従うのが指数分布で、幾何分布を連続量に置き換えたものにあたります。
できごとが一定率で独立に発生するポアソン過程では、一定時間内の回数は ポアソン分布、発生間隔は指数分布に従います。密度と要約量は次のとおりです。

左の図のとおり、密度は で最も高く、そこから減り続けます。短い待ち時間ほど起こりやすいということで、これは幾何分布で「1回目の成功が最も起こりやすい」だったのと同じ形です。期待値 も、幾何分布の にきれいに対応しています。
そして幾何分布と同じく、指数分布も無記憶性をもちます。すでに だけ待ったという条件のもとで、さらに 以上待つ確率は、はじめから 以上待つ確率と変わりません。
右の図がそれを示しています。2まで待ったあとの残り時間の分布(破線)は、始点がずれているだけで、はじめの分布(実線)とまったく同じ形です。待った時間は、次に起こるまでの見通しを1ミリも変えません。
無記憶性は、寿命を指数分布で表すことの限界でもあります。「10年使った機械が、さらに1年もつ確率は、新品が1年もつ確率と同じ」ということになってしまうからです。摩耗して壊れやすくなる部品には当てはまりません。指数分布が向くのは、劣化ではなく偶発的な原因で起こることがらです。電子部品の突発故障や、窓口への到着間隔がこれにあたります。
ある窓口に、平均して1時間に2人が一定率で独立に訪れるポアソン過程を仮定します。次の人までの待ち時間 (時間)は の指数分布に従います。
平均の待ち時間は 時間、つまり30分。1時間に2人なら1時間に2人なら30分に1人、という当たり前の値です。標準偏差も 時間で、期待値と一致します(指数分布ではつねにそうなります)。
「30分以上待つ」確率を求めてみます。 以上待つ確率は密度を積分して となるので、。平均が30分なのに、30分以上待つ確率は半分ではなく約37%しかありません。短い待ち時間ほど起こりやすいぶん、平均より下に入ることのほうが多いためです。
無記憶性も数字で見ておきます。すでに30分待ったとして、さらに30分以上待つ確率は 。最初の30分とまったく同じ値に戻りました。
この性質は、同じ現象を回数で見るか間隔で見るかという対応から出てきます。1時間あたり2人が ポアソン分布 に従って訪れるなら、ある30分間に誰も来ない確率は として 。指数分布で「30分以上待つ」と言っているのは、その30分間の到着回数が0だと言っているのと同じことです。どの30分を切り取っても回数の分布が変わらない以上、待ち時間の分布も変わりようがありません。
の指数分布に従う待ち時間の期待値はどれですか。
指数分布に従う待ち時間について、すでに30分待ったとき、さらに30分以上待つ確率はどうなりますか。
できごとが一定率で独立に発生するポアソン過程で、できごとどうしの間隔が従う分布はどれですか。
機械の寿命を指数分布で表すことの限界として、最も適切な指摘はどれですか。