当たる確率が のくじを、毎回もとに戻しながら引き続けます。初めて当たるのは何回目でしょうか。2回目かもしれないし、20回目まで引くはめになるかもしれません。この「初めて成功するまでの回数」が従う分布が幾何分布です。
回目で初めて成功するには、1回目から 回目まで失敗し続け、 回目に成功すればよい。ベルヌーイ試行 を独立に繰り返しているので、確率は掛け算だけで出ます。
が増えるほど が小さくなるので、確率は一方的に減っていきます。つまり最も起こりやすいのは1回目で成功することで、そこから右へ長い裾を引く形です。期待値と分散は次のようになります。
期待値 は直感どおりの値です。10回に1回当たるくじなら平均10回で当たる。ただし最も起こりやすいのは1回目なので、平均と最頻値がまるで違うという、左右対称な分布では起こらないことが起きています。
幾何分布は無記憶性をもちます。すでに 回外し続けたという条件のもとで、さらに 回より多く外す確率は、何もない状態から 回より多く外す確率と等しい——式で書けば です。「そろそろ当たるはずだ」という感覚に真っ向から反しますが、毎回もとに戻している以上、くじの側は過去を覚えていません。
当たる確率 のくじを、毎回もとに戻して引きます。何回目で初めて当たるかの確率を、はじめのほうだけ並べてみます。
| k 回目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.100 | 0.090 | 0.081 | 0.073 | 0.066 |
たとえば3回目で初めて当たる確率は 。1回目がいちばん高く、あとは9割ずつ掛け算で減っていきます。期待値は 回ですが、10回目の確率は 0.039 しかありません。平均は「よくある値」ではなく、長い裾に引っ張られた重心だということです。
ここで無記憶性を確かめます。5回引いて全部外れたとしましょう。「もう5回ぶん外したのだから、そろそろ当たるはずだ」と考えたくなります。ところが、いまから当たるまでに引く回数の期待値は 回のまま。最初に立っていた地点とまったく同じです。
5回ぶん引いたのだから残りは減るはず、と考えるのが定番の誤りです。減るのは「あと何回で当たるか」の残り回数ではなく、単に手元の資金や時間のほうです。くじを戻している以上、5回の外れは次の1回に何の影響も与えていません。
成功確率が の試行を繰り返すとき、初めて成功するまでの回数の期待値はどれですか。
当たる確率が のくじを毎回もとに戻して引くとき、3回目で初めて当たる確率を表す式はどれですか。
さいころを繰り返し投げ、1の目が出たら終わりとします。すでに4回投げて1の目が出ていないとき、いまから終わるまでに投げる回数の期待値はどれですか。
幾何分布 について、確率が最も大きくなるのはどの のときですか。