1時間に平均3人が来店する店で、来店が一定率で互いに独立に起こると仮定し、次の1時間に5人来る確率を考えます。二項分布 の試行回数 にあたるものはなく、あるのは「平均3人」という頻度です。
一定の時間や範囲で、発生率が一定、互いの発生が独立で、十分短い区間に複数回起こる確率を無視できるとみなせるとき、その発生回数を表すモデルがポアソン分布です。パラメータは平均回数 で、 と書きます。
この分布の際立った性質は、期待値と分散がどちらも に等しいことです。平均が分かれば散らばりも決まってしまう、ということで、観測データの平均と分散が大きく食い違うならポアソン分布は当てはまらない、という判定にも使えます。
ポアソン分布は二項分布の極限でもあります。 を大きく、 を小さくしながら を保つと、 はポアソン分布に近づきます。事故件数や不良品数も、発生率の一定性や独立性などを近似的に満たすとみなせる場合にこのモデルで扱います。

が小さいうちは 0 回の確率が高く右へ長い裾を引きますが、 が大きくなるにつれて山が右へ移りながら左右対称に近づきます。じゅうぶん大きければ 正規分布 で近似できる、というのはここから来ています。
冒頭の店に戻ります。1時間の来店客数が のポアソン分布に従うとして、次の1時間の様子を数えてみます。
| k 人 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.050 | 0.149 | 0.224 | 0.224 | 0.168 | 0.101 |
5人来る確率は で、約10%です。平均は3人ですが、ちょうど3人になる確率は0.224しかありません。2人と3人が同じ高さで並んでいるのも、整数の では と の確率が等しくなるためです。
「1人も来ない」確率が ある点も見ておきます。平均3人と聞くと毎時間そこそこ来るように思えますが、20時間に1回ほどは誰も来ない時間帯が生じる勘定です。
分散も 、標準偏差は 人。平均3人に対して1.7人ぶれるので、来店客数はかなり不安定だと分かります。もし実際のデータで平均が3人なのに分散が10もあったなら、時間帯によって混み方が違うなど、ポアソン分布の前提が崩れていることを疑います。
ポアソン分布 の期待値と分散の組合せとして正しいものはどれですか。
ある交差点で1日に平均2件の事故が起こるとします。事故件数がポアソン分布に従うとき、ある1日に事故が1件も起こらない確率に最も近いものはどれですか。
二項分布 がポアソン分布に近づくのは、どのような場合ですか。
ある窓口の1日あたり利用件数を1年ぶん集計したところ、平均が4件、分散が15でした。この結果の読み方として最も適切なものはどれですか。