ひよこ統計

幾何平均

統計検定2級

ある株価が1年目に2倍になり、2年目に半分になりました。2年たって値は元どおりです。この2年間の「平均の変化率」を出そうとして、+100% と −50% を足して2で割ると +25%。これでは「平均すると増えていた」ことになってしまい、元どおりという事実と食い違います。

倍率の平均には、足して割る 算術平均 ではなく、掛けて累乗根をとる平均を使います。n n 個の正の数を掛け合わせ、その n n 乗根をとった値を幾何平均と呼びます。

G=(x1x2⋯xn)1nG = \left( x_1 x_2 \cdots x_n \right)^{\frac{1}{n}}
G G :幾何平均、xi x_i :各データ(正の数)、n n :データの個数

さきほどの例なら、倍率は 2倍と 0.5倍ですから 2×0.5=1 \sqrt{2 \times 0.5} = 1 。1倍、つまり変化なしという、実際に合った答えが出ます。

変化率は掛け算で積み重なるため、足して割る平均では合いません。2年間を通した倍率は 2 と 0.5 の積になります。積を等しい n n 個の数の積に分け直すには、n n 乗根をとるほかありません。

「幾何」という呼び名は図形に由来します。2つの数の幾何平均は、その2数を縦と横の長さにした長方形と、面積の等しい正方形の一辺にあたります。縦4・横9の長方形の面積は 36 で、同じ面積の正方形の一辺は 6。たしかに 4 と 9 の幾何平均です。

統計で出番が多いのは、掛け算で積み上がる量の代表として使う場面です。とりわけ n n 期間の平均 成長率 は、期首と期末の比の n n 乗根から求めます。

g=(期末の値期首の値)1n−1g = \left( \frac{\text{期末の値}}{\text{期首の値}} \right)^{\frac{1}{n}} - 1
g g :1期あたりの平均成長率(小数)、n n :期間の数

3年で1.331倍になった伸びを、1年あたりに直す

ある会社の売上が3年間で 100億円から 133.1億円になりました。毎年一定の割合で伸びたとみなすと、1年あたりの成長率はいくつでしょうか。

3年間を通した倍率は 133.1÷100=1.331 133.1 \div 100 = 1.331 。その3乗根は 1.33113=1.1 1.331^{\frac{1}{3}} = 1.1 なので、1年あたり 10%の成長です。確かめてみると 100×1.1×1.1×1.1=133.1 100 \times 1.1 \times 1.1 \times 1.1 = 133.1 で、たしかに3年で 133.1 に届きます。

増えた分を3等分してはいけない理由

増えた分 33.1 を3等分して 33.1÷100÷3=0.1103… 33.1 \div 100 \div 3 = 0.1103\ldots 、つまり約11%とするのは誤りです。この計算は、2年目・3年目の増加が前年までに増えた分の上にも積み上がることを見落としています。実際に11%で3年伸ばすと 100×1.113=136.8 100 \times 1.11^3 = 136.8 億円となり、133.1億円を通り越してしまいます。

入門問題

全 4 問
問 1

4 と 9 の幾何平均はいくつですか。

問 2

ある商品の価格が1年目に2倍になり、2年目に半分になりました。この2年間の1年あたりの平均変化率はいくつですか。

問 3

ある指標が2年間で 100 から 121 になりました。毎年一定の割合で増えたとみなすとき、1年あたりの平均成長率はいくつですか。

問 4

幾何平均を使うのがふさわしいのは、次のうちどれの平均をとるときですか。