二項分布 が使えるのは、取り出したものを毎回もとに戻す場合でした。ところが現実の抜き取り検査やくじ引きは、たいてい戻しません。戻さなければ、1つ取り出すたびに残りの構成が変わり、成功確率が一定でなくなります。
この、有限個の集まりから戻さずに取り出したときの当たりの個数が従う分布が超幾何分布です。全部で 個あり、そのうち当たりが 個、そこから 個を取り出すとします。
式の意味は数え上げそのものです。分母は 個から 個を選ぶ場合の数、分子は「当たり 個から 個」と「はずれ 個から 個」を選ぶ場合の数の積。当たりとはずれを別々に選んで組み合わせている、と読めます。
期待値は二項分布と同じ形をしています。当たりの割合を と書けば で、戻す場合の とまったく同じです。違いは分散に出ます。
前半は二項分布の と同じで、後ろに という因子が付いています。これは1より小さいので、戻さないほうが散らばりは小さくなります。有限母集団 修正と呼ばれる補正です。極端な場合を考えると納得できます。、つまり全部取り出せば当たりの個数は必ず に決まり、実際この因子は 0 になります。
なお が に比べて十分大きいとき、修正の因子はほぼ 1 になり、超幾何分布は二項分布とほとんど区別が付きません。1万個の製品から10個抜き取る検査で、戻すか戻さないかを気にしなくてよいのはこのためです。逆に、母集団が小さいのに二項分布で済ませると散らばりを過大に見積もります。
10本のくじのうち3本が当たりです。ここから4本を引くとき、当たりがちょうど2本になる確率を求めます。
全体の選び方は 通り。当たり3本から2本を選ぶのが 通り、はずれ7本から2本を選ぶのが 通りなので、求める確率は です。
これを、もし戻していたらどうなるでしょうか。二項分布 で計算するとどうなるでしょうか。 で、少し小さめの値になります。
期待値はどちらも 本で一致します。ずれているのは散らばりのほうで、戻さない場合の分散は 、戻す場合は 0.84。 と小さいため、修正の因子 によって分散が 0.84 から 0.56 へ縮みます。
戻さない引き方では、当たりを引けば残りの当たりが減り、外せば残りの当たりの割合が上がります。この差し引きが結果を中央へ寄せます。分散が小さくなるのは、そのぶんだけ極端な結果が出にくくなるためです。
超幾何分布で扱うのはどのような場面ですか。
12個の製品のうち4個が不良品です。ここから3個を戻さずに取り出すとき、不良品がちょうど1個である確率に最も近いものはどれですか。
超幾何分布の分散に付く因子 について、正しい説明はどれですか。
1万個の製品から10個を抜き取って検査します。この場面で超幾何分布を二項分布で代用してよい理由として、最も適切なものはどれですか。