コインを投げ続けて、表が3回出たところでやめることにします。最短なら3回で済みますが、10回投げてもまだ終わらないこともある。何回投げることになるかは、投げてみるまで決まりません。
、 とします。成功確率 の ベルヌーイ試行 を独立に繰り返し、 回目の成功が出るまでの試行回数 が従う分布を負の二項分布といいます。
式の形には理由があります。 回目でちょうど終わるためには、最後の 回目が成功でなければなりません。ここが決まっているので、残る 回のうち 回が成功、という数え方になります。二項分布 の が全体から自由に選ぶのに対し、こちらは末尾を固定したうえで残りを選ぶ、という違いです。
書籍によっては、試行回数ではなく「 回成功するまでに出た失敗の回数」を と定義します。数えているものが試行回数より だけ少ないので、期待値も式も違う形になります。問題文が回数と失敗数のどちらを問うているのかを、式を立てる前に確かめます。
期待値と分散は、幾何分布のちょうど 倍になります。
倍になるのは、 が「1回目の成功までの回数」「そこから2回目の成功までの回数」……という幾何分布に従う 個の値の和だからです。それぞれの区間は互いに影響しないので、期待値も分散もそのまま足し合わせられます。 とおけば幾何分布の と に戻ります。
ゆがみのないコインを投げ続け、表が3回出たところでやめます。やめるまでに投げた回数 は ・ の負の二項分布に従います。最短で3回なので、そこから並べてみます。
| 投げた回数 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 確率 | 0.125 | 0.188 | 0.188 | 0.156 | 0.117 | 0.082 |
たとえば5回でやめる確率は、最後の5回目が表で、それ以前の4回のうち2回が表という並びなので です。
並びを見ると、最も起こりやすいのは4回と5回で、確率は同じ 0.188。幾何分布では1回目がいちばん高く、そこから一方的に減るだけでしたが、こちらは山ができています。3回で終わるには表が3つ続かねばならず、そちらは 0.125 とかえって珍しいことになります。
期待値は 回。ところが表を見ると、ちょうど6回で終わる確率は 0.156 しかありません。右へ長く裾を引く分布なので、平均は「よく出る回数」より右にずれています。
成功確率を下げると、この形はさらに極端になります。さいころで1の目が2回出るまで振り続けるなら ・ で、期待値は 回。最短の2回で終わる確率は しかなく、コインのときの 0.125 を大きく下回ります。4回で終わる確率も どまりです。 が小さいほど山は低くなだらかになり、右へ長く伸びていきます。
成功確率が 0.4 の試行を繰り返し、3回目の成功が出たところでやめます。やめるまでの試行回数の期待値はいくつですか。
成功確率 の試行を繰り返し、2回目の成功でやめます。ちょうど5回でやめる確率はいくつですか。
成功確率 を変えずに、終わりにする成功回数を から に増やしました。試行回数の期待値と分散はどうなりますか。
二項分布と負の二項分布は、どちらも成功確率 のベルヌーイ試行の繰り返しを扱います。両者の違いとして正しいものはどれですか。