ひよこ統計

二項分布

統計検定3級統計検定2級

成功する確率が毎回 0.7 のフリースローを6本打ちます。ちょうど3本入る確率はいくらでしょうか。3本入って3本外す並び方は何通りもあり、そのどれもが同じ確率で起こる——ここに気づけば、あとは掛けて数えるだけです。

成功か失敗かの2通りしかない試行を、確率を変えずに独立に n n 回繰り返したとき、成功した回数 X X が従う分布を二項分布といい、X∼B(n,p) X \sim B(n, p) と書きます。確率は次の式で与えられます。

P(X=k)=(nk)pk(1−p)n−kP(X = k) = \binom{n}{k} p^k (1-p)^{n-k}
n n :試行の回数、p p :1回あたりの成功確率、k k :成功した回数(0 から n まで)、(nk) \binom{n}{k} :n 回のうちどの k 回が成功だったかの並び方の数

式の後半 pk(1−p)n−k p^k (1-p)^{n-k} は、特定の1つの並び(たとえば「成功・成功・成功・失敗・失敗・失敗」)が起こる確率です(独立な試行 なので掛けられます)。前半の (nk) \binom{n}{k} は、その並びが何通りあるかを数えています。特定の1通りの確率に通り数を掛ける、という構造は 樹形図 で太線を数えたのとまったく同じです。

n=10 の二項分布を p=0.2、p=0.5、p=0.8 の3つ並べた棒グラフ。横軸は成功した回数0から10、縦軸は確率0から0.3。p=0.2 では山が k=2 にあり右に裾を引き、p=0.5 では k=5 を頂点に左右対称、p=0.8 では山が k=8 にあり左に裾を引いている。
n = 10 の二項分布。成功確率 p を変えたときの形の違い

山の頂上はおよそ np np の位置にあり、p=0.5 p = 0.5 のときだけ左右対称になります。p p がそれより小さければ山は左に寄って右へ長い裾を引き、大きければ逆に左へ裾を引きます。期待値と分散も n n と p p だけで決まります。

E(X)=np,V(X)=np(1−p)E(X) = np, \qquad V(X) = np(1-p)

期待値が np np になるのは素直な話です。6本を成功率0.7で打てば平均 4.2 本、と直感どおりの値が出ます。分散のほうに (1−p) (1-p) が掛かっているのは、p p が 0 や 1 に近いほど結果がぶれなくなるからで、最もぶれるのは p=0.5 p = 0.5 のときです。

冒頭のフリースローを計算します。成功確率 p=0.7 p = 0.7 で6本打つので X∼B(6,0.7) X \sim B(6, 0.7) 。ちょうど3本入る確率は k=3 k = 3 の場合です。

並び方の数は、6本のうちどの3本が成功かを選ぶ場合の数です。6本から順に3本を選ぶ並べ方が 6×5×4 6 \times 5 \times 4 通り、そのうち選ぶ順序の違い 3×2×1 3 \times 2 \times 1 通りは同じ組とみなせるので、(63)=6×5×43×2×1=20 \binom{6}{3} = \frac{6 \times 5 \times 4}{3 \times 2 \times 1} = 20 通りとなります。特定の1通りが起こる確率は 0.73×0.33=0.343×0.027=0.009261 0.7^3 \times 0.3^3 = 0.343 \times 0.027 = 0.009261 。掛け合わせて 20×0.009261=0.18522 20 \times 0.009261 = 0.18522 、およそ19%です。

ここで20を落として 0.0093 と答えるのが最も多い誤りです。0.73×0.33 0.7^3 \times 0.3^3 は「最初の3本が入り、残り3本を外す」という1つの筋書きの確率でしかなく、順序が違うだけの筋書きが他に19通りあります。

この X X の期待値は 6×0.7=4.2 6 \times 0.7 = 4.2 本です。平均4.2本のところ、ちょうど3本という結果はやや少なめにあたり、確率が19%と大きくならないのもうなずけます。分散は 6×0.7×0.3=1.26 6 \times 0.7 \times 0.3 = 1.26 、標準偏差は約1.1本なので、だいたい3本から5本のあいだに収まることが多い、と見当がつきます。

入門問題

全 4 問
問 1

1本決める確率が 0.6 の選手が5本シュートを打つとき、ちょうど3本成功する確率を表す式はどれですか。

問 2

表の出る確率が 12 \frac{1}{2} のコインを3回投げるとき、ちょうど2回表が出る確率はどれですか。

問 3

X∼B(20,0.4) X \sim B(20, 0.4) のとき、期待値 E(X) E(X) と分散 V(X) V(X) の組合せとして正しいものはどれですか。

問 4

二項分布として扱えるのはどの場面ですか。