ある市の中学生が朝食をとっているかを知りたい、としましょう。全員に聞ければ確実ですが、手間を考えると一部に聞いて済ませたいところです。このとき真っ先に決めることがあります。知りたいのは、そもそも誰のことなのか。
母集団は、調べたい対象の全体です。この例なら「その市の中学生全員」がそれにあたります。ここから一部を取り出したものが 標本 で、標本を調べて母集団の様子を推し量るのが 標本調査 です。母集団に含まれる個体の個数を、母集団の大きさといいます。
母集団は、集めたデータを見て決まるものではありません。何を知りたいかで決まります。同じ質問紙を使っても、目的が「その市の中学生」なら母集団は市の中学生全員、「全国の中学生」なら全国の中学生全員です。目的を決めないまま集めたデータからは、どこまでの範囲について語れるのかも決まりません。
母集団を広く取りすぎると、結論も届かない範囲まで広げてしまいます。A高校の1年生の名簿から選んだ10人を調べて「全国の高校生は〜だ」とは言えません。名簿に載っていない生徒には、そもそも選ばれる機会がなかったからです。逆に狭く取りすぎれば、答えられたはずの問いに答えられなくなります。
対象は人の集まりとは限りません。工場で作られる製品の全体や、これから得られる測定結果の全体を母集団とすることもあります。
目標母集団を「その市の住民全体」と定めても、集め方によって接触できる範囲と推論上の制約は変わります。
| 集め方 | 目標母集団 | 抽出台帳・接触可能範囲 | 推論上の制約 |
|---|---|---|---|
| 市の住民名簿から無作為に1000人 | その市の住民全体 | 市の住民名簿 | 無回答などがなければ住民全体へ推論しやすい |
| 駅前で声をかけた1000人 | その市の住民全体 | その時間帯に駅前で接触できた人 | 駅前滞在者についても確率標本とは限らず、代表性は保証されない |
| 自社サイトを訪れた人のうち回答した1000人 | その市の住民全体 | サイト訪問者のうち自発的に回答した人 | 自己選択があるため住民全体へ一般化できない |
目標母集団は研究目的で決めます。そのうえで、抽出台帳や接触可能範囲が目標母集団を覆っているか、そこから確率的に選ばれているかを確認します。駅前で声をかける方法では、駅を使わない住民が入らないうえ、駅前にいた人の中でも声をかけられる確率が不明なので、駅前滞在者全体への代表性も保証されません。
ある市の中学生全員から一部を選んで調査するとき、調査対象の全体(市の中学生全員)を何と呼びますか。
A高校の1年生320人全員の名簿から、乱数で10人を選びました。母集団と標本の組合せとして正しいものはどれですか。
駅前で声をかけて1000人に回答してもらいました。この調査について正しい説明はどれですか。