調べたい対象の全体が 母集団、そこから実際に取り出して調べる一部が標本です。市の中学生全員が母集団なら、名簿から選ばれた200人が標本にあたります。調査票を配り、回答を集め、平均や割合を計算する。実際に手を動かす相手は、いつでもこの200人のほうです。
けれども知りたいのは、200人のことではありません。市の中学生全体のことです。手元にあるのは標本の値だけで、知りたいのは母集団の値。標本を調べて母集団を推し量る、この向きの推論が 標本調査 の骨格になります。
標本は取り直すたびに変わります。同じ母集団から改めて200人を選べば顔ぶれは変わり、計算した平均も変わります。1回の調査で得た値は母集団の値そのものではなく、そのときの標本から出たひとつの値にすぎません。このずれが 標本誤差 です。
ただし、ずれのすべてが偶然によるものとは限りません。選び方が公平でなければ、標本は決まった方向へ寄ります。答えたい人だけが答えた調査や、声をかけやすい人だけを集めた調査がこれにあたり、この場合は 標本の大きさ を増やしても寄りは直りません。
ある工場で1日に作られる2000個の製品から、20個を取り出して重さを測りました。狙いは、その日に作られた製品全体の重さの様子を知ることです。
20個の平均が、狙いの重さよりわずかに軽く出たとします。これだけで「今日の製品は軽い」と決めることはできません。2000個から公平に20個を選んでいても、たまたま軽いものが多く入ることはあるからです。取り直せば別の20個になり、平均も動きます。
いっぽう、20個を「作りはじめの20個」から取っていたなら、話は別です。機械が温まりきる前の製品ばかりを見ていることになり、ずれは偶然ではなく選び方から来ます。取り直しても、同じ方向に寄り続けます。
標本の結果が思っていたものと違ったとき、この2つを分けて考えます。前者は標本を大きくすれば小さくなりますが、後者は大きくしても小さくなりません。
標本調査における推測の向きとして正しいものはどれですか。
同じ母集団から、同じ方法で標本を取り直しました。標本平均について正しい説明はどれですか。
製品の重さを調べるため、1日に作られる2000個から20個を取り出しました。この20個の平均が狙いの重さより軽かったとき、「選び方から来るずれ」を疑うべき取り出し方はどれですか。