ある曲を3時間練習した人は、通しで弾くとミスを何回くらいするでしょうか。練習時間 とミスの回数 の回帰直線へ を入れると、 が得られます。この同じ値は、その における母集団の平均応答を推定する値であると同時に、これから観測する個別の応答に対する点予測にもなります。
区別が表れるのは、点のまわりに付ける幅です。平均応答の信頼区間は、その における平均の不確かさを表します。新しい1件の予測区間には平均の不確かさに加えて個体ごとのばらつきも入るため、同じ条件なら信頼区間より広くなります。 自体は共通でも、次に測る1点がぴたりとそこに乗るわけではありません。
同じ式を使っても、どの に当てはめるかで予測の確かさは変わります。データがそろっている範囲の内側で予測することを内挿、その範囲の外へ直線を延ばして予測することを外挿といいます。
内挿には、その範囲で直線が実際のデータに合っていたという裏づけがあります。いっぽう外挿が頼るのは、観測していない領域でも同じ直線が続くという、確かめようのない仮定です。関係が途中で頭打ちになっても向きを変えても、直線はそれを知らないまま伸びていきます。下の図では、データがある範囲を実線、その外側へ延ばした部分を破線で描き分けました。

回帰では「平均応答の推定」と「新しい個別応答の予測」を分けます。どちらも中心は ですが、前者には平均応答の信頼区間、後者には個別のばらつきまで含む予測区間を付けます。「予測のほうが広い」という比較は、この2種類の区間を同じ信頼係数・同じ で比べたときの話です。
ある曲を練習した時間 (時間)と、通しで弾いたときのミスの回数 (回)を、5人ぶん記録しました。
| 1時間 | 2時間 | 3時間 | 4時間 | 5時間 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ミスの回数(回) | 9 | 9 | 6 | 5 | 1 |
最小二乗法 で求めた直線は でした。練習が1時間増えるごとにミスが平均して2回減る、という読み方になります(傾きの読み方は 回帰係数 で扱います)。
2.5時間練習した場合のミスの回数を見積もると 回。1時間から5時間までのデータに挟まれた内側なので、これが内挿です。直線が実際に当てはまっていた範囲での予測になります。それでも的中はしません。2時間の人は予測値 8 回に対して実際は 9 回で、1回ぶん上にずれていました。
では8時間ならどうでしょうか。データがあるのは5時間までなので、こちらは外挿になります。式に入れると 回です。ミスの回数が負になることはありませんから、この答えは使えません。現実には、練習を重ねればミスは0回のあたりで下げ止まるはずで、5時間より先では直線がそのまま続くという前提が崩れています。式は を入れれば必ず何かの数値を返しますが、数値が返ってきたことと、その数値に根拠があることは別です。
回帰直線から求めた予測値 の説明として最も適切なものはどれですか。
が 10 から 20 までのデータをもとに回帰直線を求めました。この直線に を入れて を見積もる場合、注意すべき点はどれですか。
同じ と信頼係数で、回帰における平均応答の信頼区間と、新しい個別応答の予測区間を比べます。正しい説明はどれですか。