散布図 の点がおおよそ右上がりに並んでいるとき、そこに直線を1本引くとしたら、どこを通せばよいでしょうか。定規の当て方しだいで直線は何本でも引けてしまいます。そこで、直線から各点までのずれを測り、そのずれの2乗の合計がいちばん小さくなる直線を選ぶことにします。この決め方が最小二乗法、こうして当てはめた直線が回帰直線です。
ずれの測り方には約束があります。当てはめる直線は から を言い当てるためのものなので、外れの大きさは縦方向で測ります。実際の値 と直線上の値 との差を残差といい、点から直線へ下ろした垂線の長さではありません。残差をそのまま足すと正と負が打ち消し合ってしまうため、2乗してから合計します。2乗すれば符号が消え、大きく外れた点ほど重く数えられます。この合計 を残差平方和といいます。 がすべて同じではなく のとき、これを最小にする傾きと切片が次の形に一意に定まります。
傾きは 共分散 を の 分散 で割った値です。切片の式を移し替えると となり、 に平均 を入れたときの直線の高さがちょうど だと分かります。つまり回帰直線は、点がどう散らばっていても必ず2つの平均の組 を通ります。データ全体の釣り合いの中心にあたるこの点を重心といいます。次の図は、6人分のデータに回帰直線を当てはめたものです。

図の破線を見ると、直線より上にある点と下にある点が入り混じっており、直線がどれか1点に肩入れしていないことが分かります。傾き と切片 がそれぞれ何を表すかは 回帰係数 で扱います。まとめると、回帰直線は次の3つを必ず満たします。
図に描いた6人について、練習した日数 と決めたシュートの本数 を並べ、傾きと切片を実際に計算します。平均は 日、 本です。
| Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん | Fさん | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 練習した日数(日) | 0 | 1 | 1 | 3 | 3 | 4 |
| シュート(本) | 2 | 1 | 4 | 8 | 5 | 10 |
| 日数の偏差 | −2 | −1 | −1 | 1 | 1 | 2 |
| 本数の偏差 | −3 | −4 | −1 | 3 | 0 | 5 |
| 偏差の積 | 6 | 4 | 1 | 3 | 0 | 10 |
| 日数の偏差の2乗 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
偏差の積の合計は なので共分散は 、日数の偏差の2乗の合計は なので分散は です。したがって傾きは 、切片は で、当てはめる直線は と決まります。
この直線での残差を確かめます。各点での直線の値 は なので、残差は です。合計は 0 で、残差平方和は になります。
本当にこれが最小なのか、別の直線と比べてみます。同じ重心を通る傾き 1 の直線 では、直線の値が 、残差は で、残差平方和は に増えました。重心を通しただけでは足りません。傾きを に合わせてはじめて、残差平方和がいちばん小さい直線になります。
最小二乗法で散布図に直線を当てはめるとき、最小になるように直線を選ぶ量として正しいものはどれですか。
最小二乗法で求めた回帰直線が、データによらず必ず満たす性質はどれですか。
あるデータで 、、 の分散が 3、 と の共分散が 6 でした。最小二乗法で求めた直線 の と の組はどれですか。