ひよこ統計

標準正規分布

統計検定2級

平均 0・分散 1 の 正規分布 N(0,1) N(0, 1) を標準正規分布といい、これに従う確率変数は Z Z と書くのが習わしです。数ある正規分布のうちのひとつにすぎませんが、この1本だけが特別扱いされるのには理由があります。

X∼N(μ,σ2) X \sim N(\mu, \sigma^2) のとき、平均を引いて標準偏差で割った次の Z Z は、もとの μ \mu や σ \sigma が何であっても標準正規分布に従います。

Z=X−μσZ = \frac{X - \mu}{\sigma}
μ \mu :母平均(分布の中心)、σ \sigma :母標準偏差(分布の広がり)
左は平均と標準偏差が異なる3つの正規分布の密度曲線が別々の位置と広がりで描かれ、右はそれらを標準化した密度曲線が3本とも完全に重なっており、実線・破線・点線で描き分けてあるため重なりが見て取れる
標準化すると、位置も広がりも違う3つの分布が同じ1本の曲線になる

左では3つの山が別々の場所に別々の幅で立っているのに、標準化した右では3本が完全に同じ曲線に重なります(重なっていることが見えるよう、線種を変えて描いてあります)。したがって、正規分布に関する確率の計算は、どんな μ \mu ・σ \sigma の問題であっても最終的にこの1本の上での話に帰着します。このおかげで分布ごとに数表を作る必要がなく、標準正規分布表の利用 だけで足ります。

Z Z の値そのものにも意味があります。z=2 z = 2 なら「平均より標準偏差2つぶん上」ということで、もとの単位(cm・点・円)は割り算のところで消えています。単位の違う量どうしを同じ物差しに載せられるのは、この性質によります。

標準正規分布は 0 を中心に左右対称なので、P(Z≤−a)=P(Z≥a) P(Z \le -a) = P(Z \ge a) が成り立ちます。負の側は折り返して読めば足りるので、標準正規分布表には正の側しか載っていません。

ある生徒が数学と英語でどちらも 80 点を取りました。得点だけ見れば互角ですが、2つの試験は難しさが違います。

科目平均標準偏差この生徒の得点
数学602080
英語70580

それぞれを自分の試験の平均と標準偏差で標準化します。数学は z=80−6020=1.0 z = \frac{80 - 60}{20} = 1.0 、英語は z=80−705=2.0 z = \frac{80 - 70}{5} = 2.0 。同じ 80 点でも、英語のほうが集団の中で倍も上に位置しています。

得点が正規分布に従うとすれば、上位何%かも出せます。数学は P(Z≥1.0)=0.1587 P(Z \ge 1.0) = 0.1587 で上位16%ほど、英語は P(Z≥2.0)=0.0228 P(Z \ge 2.0) = 0.0228 で上位2%ほどです。「平均より20点上」と「平均より10点上」を比べて数学のほうが良いと考えるのが、ここでの典型的な早合点になります。

比較するのは平均との差そのものではなく、標準偏差で割った後の値です。英語は全体が平均 70 点のまわりに 5 点幅で密集しているので、そこから10点抜け出すのは大変なことなのです。

入門問題

全 4 問
問 1

X∼N(60,25) X \sim N(60, 25) のとき、X=70 X = 70 を標準化した値はいくつですか。

問 2

平均も標準偏差も異なる2つの正規分布に従う X X と Y Y について、P(X≥μX+1.5σX) P(X \ge \mu_X + 1.5\sigma_X) と P(Y≥μY+1.5σY) P(Y \ge \mu_Y + 1.5\sigma_Y) を比べるとどうなりますか。

問 3

ある正規分布に従う値を標準化したところ z=−1.2 z = -1.2 でした。この値が意味するものはどれですか。

問 4

平均を引いて標準偏差で割った値が標準正規分布に従う、と言えるのはどのような場合ですか。