ひよこ統計

正規分布

統計検定3級統計検定2級

身長、測定の誤差、試験の得点。まるで別の話に見えるのに、たくさん集めて ヒストグラム にすると、どれも中央がいちばん高く左右へなだらかに下がる、よく似た山型になります。この形を数式で表したものが正規分布です。

正規分布は平均 μ \mu と分散 σ2 \sigma^2 の2つだけで完全に決まり、N(μ,σ2) N(\mu, \sigma^2) と書きます。μ \mu が山の位置、σ \sigma が山の広がりを決め、形そのものは変わりません。

N(μ,σ2) N(\mu, \sigma^2) の2つ目に入るのは分散であって標準偏差ではありません。N(2,9) N(2, 9) は分散が9・標準偏差が3という意味です。ここを取り違えると以降の計算がすべてずれます。

正規分布の確率密度曲線。左右対称の山型で、中央の平均μに破線が引かれている。横軸は平均からの隔たりを標準偏差の倍数で示し、−3σから+3σまで目盛がある。平均から±1σ、±2σ、±3σの範囲が内側ほど濃く塗り分けられている。
正規分布と、平均から ±1σ・±2σ・±3σ の範囲

図の塗り分けが示すとおり、平均から標準偏差1つぶんの範囲に約68%、2つぶんに約95%、3つぶんに約99.7%が入ります。この割合は μ \mu と σ \sigma がいくつであっても変わりません。だからこそ「平均から標準偏差の何倍離れているか」だけで話が通じます。

その「何倍か」に直す操作が 標準化(z得点) です。あちらは手元のデータを標本平均と標本標準偏差で割る話でしたが、ここでは分布そのものの μ \mu と σ \sigma を使います。X∼N(μ,σ2) X \sim N(\mu, \sigma^2) のとき、次の Z Z は平均0・分散1の正規分布、すなわち 標準正規分布 N(0,1) N(0, 1) に従います。

Z=X−μσZ = \frac{X - \mu}{\sigma}
μ \mu :もとの分布の平均、σ \sigma :もとの分布の標準偏差

確率を求める手順は、これで一本道になります。知りたい値を Z Z に直し、標準正規分布表からその確率を読む——ただそれだけです。分布が違っても表は1つで足ります。

もう1つ、正規分布には扱いやすい性質があります。独立な正規分布どうしを足しても、やはり正規分布になることです。平均は平均の和、分散は分散の和になります。ここで足すのは分散であって標準偏差ではない、という点が繰り返し問われます。

標準化して順位を見積もる

受験者398,447人、平均51.20点、標準偏差18.71点の試験で88点を取りました。得点が正規分布に従うとして、およそ何位にあたるでしょうか。

まず標準化します。Z=88−51.2018.71=1.97 Z = \frac{88 - 51.20}{18.71} = 1.97 。平均より標準偏差1.97個ぶん上、ということです。標準正規分布表から P(Z≥1.97)=0.0244 P(Z \ge 1.97) = 0.0244 、つまり上位2.44%にあたります。

確率が出たら人数へ戻します。398,447×0.0244≈9,722 398{,}447 \times 0.0244 \approx 9{,}722 人が88点以上なので、順位はおよそ1万位です。88点という数字だけでは「高いのだろう」までしか言えませんが、平均と標準偏差を添えると位置が数で決まります。

分散を足して和の分布を作る

5秒間に歩く距離が平均6m・標準偏差0.5mの正規分布に従い、各5秒間は独立だとします。20秒、つまり4区間ぶんではどれだけ進むでしょうか。

平均は素直に足して 4×6=24 4 \times 6 = 24 m。分散は1区間ぶんが 0.52=0.25 0.5^2 = 0.25 なので、足して 4×0.25=1 4 \times 0.25 = 1 。よって合計距離は N(24,1) N(24, 1) に従い、標準偏差は 1=1 \sqrt{1} = 1 mです。

ここで標準偏差のほうを4倍して2mとしてはいけません。足し合わせてよいのは分散で、標準偏差は最後に平方根で戻します。結果として、4区間ぶんに増えても散らばりは2倍(0.5→1 0.5 \to 1 )にとどまります。距離が4倍になるのに対して、ぶれは 4=2 \sqrt{4} = 2 倍どまり。この「平均は n n 倍・ぶれは n \sqrt{n} 倍」という差が、のちに標本平均を扱うときの土台になります。

22m以上進む確率も出せます。Z=22−241=−2 Z = \frac{22 - 24}{1} = -2 なので P(Z≥−2) P(Z \ge -2) 。左右対称なので 1−P(Z≥2)=1−0.0228=0.977 1 - P(Z \ge 2) = 1 - 0.0228 = 0.977 、およそ98%です。

入門問題

全 4 問
問 1

X∼N(10,4) X \sim N(10, 4) を標準正規分布に直す変換として正しいものはどれですか。

問 2

平均500g・標準偏差20gの正規分布に従う製品から1個を選ぶとき、重さが540g以上である確率に最も近いものはどれですか。

問 3

1個の重さが平均10g・標準偏差2gの正規分布に従い、互いに独立な品物を4個まとめます。合計の重さが従う分布はどれですか。

問 4

正規分布について正しい説明はどれですか。