同じデータ・同じ有意水準でも、問いの向きが変われば判定は変わります。「規格どおりかどうか」を知りたいのか、「規格より大きくなっていないか」だけを知りたいのか。対立仮説が のように両向きへ開いている検定を両側検定、 や のように一方向だけを見る検定を片側検定といいます。

違いは、帰無仮説を捨てる基準とする確率 をどこへ置くかにあります。両側検定は を左右の裾へ半分ずつ振り分けるので、5% なら片側 2.5% ずつ、境界は です。片側検定は 5% をまとめて片方の裾に置くため、境界は 1.645 と中央寄りになります。図で塗った面積の合計はどちらも 5% ですが、置き方が違うので境界の位置がずれるわけです(上側確率点)。
| 検定の種類 | 有意水準 5% | 有意水準 1% |
|---|---|---|
| 両側検定 | ||
| 上側の片側検定 | ||
| 下側の片側検定 |
したがって、検定統計量が 1.645 と 1.96 の間に落ちたときは、片側なら棄却され、両側なら棄却されません。同じことを p値 で見ると、統計量が対立仮説の向きにあり、かつ帰無分布が左右対称であれば、片側のp値は両側のちょうど半分になります。
気をつけたいのは、結果を見てから片側に切り替える操作です。都合の悪い側の裾を捨てて 5% を寄せ集めることになるので、実質的には 10% の水準で検定したのと変わりません。両側か片側かを決めるのはデータではなく問いのほうです。「違いがあるか」を知りたいのか「増えたか」だけを知りたいのか、調べる前に定めておく事柄になります。
ある機械が作る部品の長さは、規格では 20 mm です。長さのばらつきは母標準偏差 0.5 mm と分かっており、25 個を測ったところ平均は 20.18 mm でした。
母平均が 20 mm のままだとしたときの検定統計量は、次の値になります。
知りたいことが「規格から外れていないか」なら両側検定で、境界は 1.96。1.8 < 1.96 なので棄却しません。ところが「規格より長くなっていないか」だけを問題にするなら上側の片側検定になり、境界は 1.645。1.8 > 1.645 ですから、今度は棄却します。
同じ 1.8 という値が、問いの立て方だけで逆の結論を生みました。p値で見ても片側 0.036・両側 0.072 とちょうど倍の関係にあり、5% の線をまたぐ位置に落ちています。境界のすぐ近くに落ちた値ほど、どちらの検定を選んだかがそのまま結論を決めてしまいます。
対立仮説が のときに行うのはどちらの検定ですか。
検定統計量 が標準正規分布に従うとき、有意水準 5% の両側検定の棄却域はどれですか。
同じ検定統計量に対する両側検定のp値と片側検定のp値はどのような関係にありますか。ただし検定統計量は標準正規分布に従い、対立仮説の向きにあるものとします。