ひよこ統計

両側検定と片側検定

統計検定2級

同じデータ・同じ有意水準でも、問いの向きが変われば判定は変わります。「規格どおりかどうか」を知りたいのか、「規格より大きくなっていないか」だけを知りたいのか。対立仮説が H1:μ≠μ0 H_1: \mu \neq \mu_0 のように両向きへ開いている検定を両側検定、H1:μ>μ0 H_1: \mu > \mu_0 や H1:μ<μ0 H_1: \mu < \mu_0 のように一方向だけを見る検定を片側検定といいます。

標準正規分布を2つ並べた図。左は両側検定で −1.96 より左と 1.96 より右の両方の裾が塗られ、右は片側検定で 1.645 より右の裾だけが塗られている
有意水準5%の置き方(左:両側検定/右:上側の片側検定)

違いは、帰無仮説を捨てる基準とする確率 α \alpha をどこへ置くかにあります。両側検定は α \alpha を左右の裾へ半分ずつ振り分けるので、5% なら片側 2.5% ずつ、境界は ±1.96 \pm 1.96 です。片側検定は 5% をまとめて片方の裾に置くため、境界は 1.645 と中央寄りになります。図で塗った面積の合計はどちらも 5% ですが、置き方が違うので境界の位置がずれるわけです(上側確率点)。

検定の種類有意水準 5%有意水準 1%
両側検定∣z∣>1.96 |z| > 1.96 ∣z∣>2.576 |z| > 2.576
上側の片側検定z>1.645 z > 1.645 z>2.326 z > 2.326
下側の片側検定z<−1.645 z < -1.645 z<−2.326 z < -2.326

したがって、検定統計量が 1.645 と 1.96 の間に落ちたときは、片側なら棄却され、両側なら棄却されません。同じことを p値 で見ると、統計量が対立仮説の向きにあり、かつ帰無分布が左右対称であれば、片側のp値は両側のちょうど半分になります。

気をつけたいのは、結果を見てから片側に切り替える操作です。都合の悪い側の裾を捨てて 5% を寄せ集めることになるので、実質的には 10% の水準で検定したのと変わりません。両側か片側かを決めるのはデータではなく問いのほうです。「違いがあるか」を知りたいのか「増えたか」だけを知りたいのか、調べる前に定めておく事柄になります。

ある機械が作る部品の長さは、規格では 20 mm です。長さのばらつきは母標準偏差 0.5 mm と分かっており、25 個を測ったところ平均は 20.18 mm でした。

母平均が 20 mm のままだとしたときの検定統計量は、次の値になります。

z=20.18−200.5/25=0.180.1=1.8z = \frac{20.18 - 20}{0.5 / \sqrt{25}} = \frac{0.18}{0.1} = 1.8

知りたいことが「規格から外れていないか」なら両側検定で、境界は 1.96。1.8 < 1.96 なので棄却しません。ところが「規格より長くなっていないか」だけを問題にするなら上側の片側検定になり、境界は 1.645。1.8 > 1.645 ですから、今度は棄却します。

同じ 1.8 という値が、問いの立て方だけで逆の結論を生みました。p値で見ても片側 0.036・両側 0.072 とちょうど倍の関係にあり、5% の線をまたぐ位置に落ちています。境界のすぐ近くに落ちた値ほど、どちらの検定を選んだかがそのまま結論を決めてしまいます。

入門問題

全 3 問
問 1

対立仮説が H1:p≠p0 H_1: p \neq p_0 のときに行うのはどちらの検定ですか。

問 2

検定統計量 z z が標準正規分布に従うとき、有意水準 5% の両側検定の棄却域はどれですか。

問 3

同じ検定統計量に対する両側検定のp値と片側検定のp値はどのような関係にありますか。ただし検定統計量は標準正規分布に従い、対立仮説の向きにあるものとします。