標準正規分布 に従う互いに独立な確率変数を 個用意し、それぞれを2乗して足し合わせます。2乗してから足すので、この量は決して負になりません。
こうして作った が従う分布を、自由度 のカイ二乗分布といい と書きます。足し合わせる個数が変われば分布そのものが変わるため、自由度は分布の形を決める値です。

自由度1では 0 に近づくほど高くなり、右へ長い裾を引きます。自由度が増えるにつれて山は右へ移り、ゆがみも和らいでいきます。山が移る先には見当がついていて、期待値は自由度そのものです。散らばりのほうは自由度の2倍で、こちらも自由度とともに大きくなります。
この分布が出てくる場面は2つあります。1つは カイ二乗値(一様な頻度からのずれ) で、観測度数と期待度数のずれを足し上げたあの量は、度数が十分あればカイ二乗分布に近似的に従います。だからこそ「ずれが大きすぎるか」を 上側確率点(パーセント点) と比べて判定できるのです。
もう1つは標本の散らばりです。正規母集団から大きさ の無作為標本をとり、偏差の2乗和を で割った不偏分散を とすると、次が成り立ちます。
自由度が ではなく になるのは、偏差を測る中心に母平均ではなく標本平均を使っているからです。標本平均を使うと偏差の和は必ず 0 になり、 個の偏差のうち自由に動けるのは 個だけになります。この「自由に動ける個数」が自由度の名の由来です。
母分散が と分かっている正規母集団から、大きさ 6 の無作為標本をとります。標本から計算した不偏分散 は、母分散 16 のまわりでどのくらい振れるものでしょうか。
そのものの分布は数表になっていないので、カイ二乗分布に従う形へ直します。 より自由度は 。ここで、真ん中の 90% を残すように上下を 5% ずつ落とす点を カイ二乗分布表 から拾います。
| 自由度 | 下側5%点 | 上側5%点 |
|---|---|---|
| 5 | 1.145 | 11.07 |
| 20 | 10.85 | 31.41 |
自由度5の行を使います。 を について解くと、下端は 、上端は 。この間に入る確率が 0.90 です。
母分散 16 に対して、3.66 から 35.4。倍率でいえば 0.23倍から 2.2倍 まで振れることになります。10回に9回はこの中に収まる、という幅がこれです。したがって が母分散の2倍を超えたところで、異常だと決めることはできません。大きさ6の標本では、分散はもともとこれだけ暴れます。
表の自由度20の行、つまり大きさ21の標本なら、同じ計算で 8.68 から 25.13、母分散の 0.54倍から 1.57倍に狭まります。倍率で見た幅が縮んでいくのが、標本を大きくして得られるものです。
が互いに独立に標準正規分布に従うとき、 が従う分布はどれですか。
カイ二乗分布の性質として正しくないものはどれですか。
正規母集団から大きさ 12 の無作為標本をとり、不偏分散 を計算しました。 が従うカイ二乗分布の自由度はいくつですか。