ひよこ統計

カイ二乗分布

統計検定2級

標準正規分布 に従う互いに独立な確率変数を ν \nu 個用意し、それぞれを2乗して足し合わせます。2乗してから足すので、この量は決して負になりません。

χ2=Z12+Z22+⋯+Zν2\chi^2 = Z_1^2 + Z_2^2 + \cdots + Z_{\nu}^2
Zi Z_i :標準正規分布に従う互いに独立な確率変数、ν \nu :足し合わせた個数。自由度と呼ぶ

こうして作った χ2 \chi^2 が従う分布を、自由度 ν \nu のカイ二乗分布といい χ2(ν) \chi^2(\nu) と書きます。足し合わせる個数が変われば分布そのものが変わるため、自由度は分布の形を決める値です。

自由度1・3・5・10のカイ二乗分布の確率密度曲線を重ねた図。自由度1の曲線は左端で枠の上へ抜けており、そこから右下がりに落ちる。自由度が大きくなるほど山の位置が右へ移り、山の高さは低く幅は広くなる
自由度が大きくなるほど山は右へ移り、左右対称な形に近づく(自由度1は 0 に近づくほど高くなり、枠の外へ抜けている)

自由度1では 0 に近づくほど高くなり、右へ長い裾を引きます。自由度が増えるにつれて山は右へ移り、ゆがみも和らいでいきます。山が移る先には見当がついていて、期待値は自由度そのものです。散らばりのほうは自由度の2倍で、こちらも自由度とともに大きくなります。

E(χ2)=ν,V(χ2)=2νE(\chi^2) = \nu, \qquad V(\chi^2) = 2\nu
ν \nu :自由度。期待値そのものであり、分散はその2倍になる

この分布が出てくる場面は2つあります。1つは カイ二乗値(一様な頻度からのずれ) で、観測度数と期待度数のずれを足し上げたあの量は、度数が十分あればカイ二乗分布に近似的に従います。だからこそ「ずれが大きすぎるか」を 上側確率点(パーセント点) と比べて判定できるのです。

もう1つは標本の散らばりです。正規母集団から大きさ n n の無作為標本をとり、偏差の2乗和を n−1 n - 1 で割った不偏分散を S2 S^2 とすると、次が成り立ちます。

(n−1)S2σ2 ∼ χ2(n−1)\frac{(n-1)S^2}{\sigma^2} \ \sim \ \chi^2(n-1)
S2 S^2 :不偏分散(偏差の2乗和を n−1 n-1 で割った値)、σ2 \sigma^2 :母分散

自由度が n n ではなく n−1 n - 1 になるのは、偏差を測る中心に母平均ではなく標本平均を使っているからです。標本平均を使うと偏差の和は必ず 0 になり、n n 個の偏差のうち自由に動けるのは n−1 n - 1 個だけになります。この「自由に動ける個数」が自由度の名の由来です。

母分散が σ2=16 \sigma^2 = 16 と分かっている正規母集団から、大きさ 6 の無作為標本をとります。標本から計算した不偏分散 S2 S^2 は、母分散 16 のまわりでどのくらい振れるものでしょうか。

S2 S^2 そのものの分布は数表になっていないので、カイ二乗分布に従う形へ直します。n=6 n = 6 より自由度は 6−1=5 6 - 1 = 5 。ここで、真ん中の 90% を残すように上下を 5% ずつ落とす点を カイ二乗分布表 から拾います。

自由度下側5%点上側5%点
51.14511.07
2010.8531.41

自由度5の行を使います。1.145≤5S216≤11.07 1.145 \le \frac{5S^2}{16} \le 11.07 を S2 S^2 について解くと、下端は 16×1.1455=3.66 \frac{16 \times 1.145}{5} = 3.66 、上端は 16×11.075=35.4 \frac{16 \times 11.07}{5} = 35.4 。この間に入る確率が 0.90 です。

母分散 16 に対して、3.66 から 35.4。倍率でいえば 0.23倍から 2.2倍 まで振れることになります。10回に9回はこの中に収まる、という幅がこれです。したがって S2 S^2 が母分散の2倍を超えたところで、異常だと決めることはできません。大きさ6の標本では、分散はもともとこれだけ暴れます。

表の自由度20の行、つまり大きさ21の標本なら、同じ計算で 8.68 から 25.13、母分散の 0.54倍から 1.57倍に狭まります。倍率で見た幅が縮んでいくのが、標本を大きくして得られるものです。

入門問題

全 3 問
問 1

Z1,Z2,…,Z5 Z_1, Z_2, \ldots, Z_5 が互いに独立に標準正規分布に従うとき、Z12+Z22+⋯+Z52 Z_1^2 + Z_2^2 + \cdots + Z_5^2 が従う分布はどれですか。

問 2

カイ二乗分布の性質として正しくないものはどれですか。

問 3

正規母集団から大きさ 12 の無作為標本をとり、不偏分散 S2 S^2 を計算しました。(n−1)S2σ2 \dfrac{(n-1)S^2}{\sigma^2} が従うカイ二乗分布の自由度はいくつですか。