ひよこ統計

観測値と予測値

統計検定2級

同じ x x の値をもつデータが2件あっても、実際に測った y y がぴったりそろうとは限りません。ところが回帰直線は、x x を入れれば1つの値を返します。この実際に測った値を観測値 yi y_i 、直線に xi x_i を入れて計算した値を予測値 y^i \hat{y}_i といい、1件ずつ並べて突き合わせます。突き合わせる相手は手元にあるデータに限ります。まだ観測していない x x への見積もりは 予測 で扱います。

並べるときに大切なのは、番号 i i をそろえることです。y^i \hat{y}_i は i i 番目のデータがもつ xi x_i から計算した値なので、yi y_i とまったく同じ1件を指しています。2つの差 yi−y^i y_i - \hat{y}_i は 最小二乗法 で扱った残差で、その1件について直線が上と下のどちらへどれだけ外したかを表します。5つの巣箱について、取り付けた止まり木の本数 x x (本)と訪れた鳥の数 y y (羽)を調べ、直線 y^=2+x \hat{y} = 2 + x が求まったとしましょう。観測値・予測値・差を横に並べると次のようになります。

巣箱A巣箱B巣箱C巣箱D巣箱E平均
止まり木の本数(本)012342
観測値 yi y_i (羽)314754
予測値 y^i \hat{y}_i (羽)234564
差 yi−y^i y_i - \hat{y}_i (羽)1−202−10

巣箱Bは予測より2羽少なく、巣箱Dは2羽多い、というように、1件ごとの外し方が数値のまま読み取れます。ここで平均の列に目を向けると、予測値の平均 4 羽が観測値の平均 4 羽と一致しています。これは偶然ではありません。差の合計が必ず 0 になるため、予測値の合計は観測値の合計と等しくなり、同じ個数で割った平均もそろいます。

∑i=1n(yi−y^i)=0,y^ˉ=yˉ\sum_{i=1}^{n}\left(y_i - \hat{y}_i\right) = 0, \qquad \bar{\hat{y}} = \bar{y}
yi y_i :i i 番目のデータの観測値、y^i \hat{y}_i :同じ1件について直線が返す予測値、yˉ \bar{y} :観測値の平均、y^ˉ \bar{\hat{y}} :予測値の平均、n n :データの個数

平均がそろうことと、1件ごとの予測が当たることは別です。表の巣箱Bと巣箱Dのように、下へ2羽・上へ2羽という外れが打ち消し合った結果として、平均だけがそろっています。差の全体の大きさを平方和として整理する方法は 変動の分解、差の並び方を図で確かめる方法は 残差プロット で扱います。

同じ皿数の日が2日ずつある記録で対応表を作る

ある店で6日間、店頭に出した試食の皿数 x x (皿)と、その日に売れた個数 y y (個)を記録しました。1皿・2皿・3皿の日がそれぞれ2日ずつあります。最小二乗法で求めた直線は y^=2+2x \hat{y} = 2 + 2x でした。予測値は皿数を入れるだけなので、1皿の日は 2+2×1=4 2 + 2 \times 1 = 4 個、2皿の日は 6 個、3皿の日は 8 個となります。

1日目2日目3日目4日目5日目6日目平均
試食の皿数(皿)1122332
観測値 yi y_i (個)5384976
予測値 y^i \hat{y}_i (個)4466886
差 yi−y^i y_i - \hat{y}_i (個)1−12−21−10

予測値の行は、皿数が同じ日には同じ値が並びます。予測値は x x だけから決まるからです。いっぽう観測値の行は、同じ2皿の日でも 8 個と 4 個で4個も違います。この違いは直線からは出てきません。差の行を見ると、3日目は 2 個上、4日目は 2 個下と、同じ予測値をはさんで反対向きに外れていたことが分かります。

平均も確かめます。観測値の合計は 5+3+8+4+9+7=36 5+3+8+4+9+7 = 36 、予測値の合計も 4+4+6+6+8+8=36 4+4+6+6+8+8 = 36 で、どちらも6で割って 6 個です。差の合計は 1−1+2−2+1−1=0 1-1+2-2+1-1 = 0 ですから、合計が一致するのは当然の結果でした。日ごとの外れが最大で2個あっても、平均のうえでは食い違いが残りません。

入門問題

全 3 問
問 1

あるデータに回帰直線 y^=1+3x \hat{y} = 1 + 3x を当てはめました。x=2 x = 2 をもつ1件の観測値が 9 だったとき、この1件の差 y−y^ y - \hat{y} はいくつですか。

問 2

5件のデータに最小二乗法で回帰直線を当てはめたところ、観測値の平均は 8 でした。5件の予測値の平均について正しいものはどれですか。

問 3

同じ x x の値をもつ2件のデータがあります。この2件の観測値と予測値の関係として正しいものはどれですか。