都市Aでは 100 人中 60 人、都市Bでは 100 人中 50 人が「ある習慣がある」と答えたとします。標本比率の差は 0.10。この 10 ポイントは本当の違いなのか、標本を取り替えれば消えてしまう程度のぶれなのか。そこを判断するために、差 に幅を付けて示すのが母比率の差の区間推定です。
中心に置くのは標本比率の差 。各群で無作為に得た二値観測を独立に扱え、さらに2つの群も互いに独立なら、分散が足し算になることから(和と差の分散)、各群の を足して平方根を取ります。
差を求めるのに根号の中は足し算になります。ここを引き算にしてはいけません。不確かさは打ち消し合わず、2つ分が重なって増えるからです。正規近似には、どちらの群でも該当者数と非該当者数がある程度必要です。片方の群でも該当者が数人しかいないようなら、この式は当てになりません。同じ人の前後を比べるような対応のあるデータでは2群が独立でないため、この式ではなく対応を考慮した方法を使います。
この区間の読み方は 0 との位置関係で決まります。区間が 0 を含まなければ、差の向きまで含めて「Aのほうが高い」と述べられる。0 を含むなら、そこまでは述べられません。
ただし「差があるとはいえない」は「差がない」ではありません。0 をまたぐ区間は、差が 0 である可能性と、区間の端ほどの大きな差がある可能性を同時に残しています。標本が小さければ区間は広く、たいてい 0 をまたぐ。この結論は、母集団について何かがわかったという報告ではなく、この調査では見分けられなかったという報告なのです。
都市A・Bでそれぞれ住民を無作為に抽出し、各群内の回答と2群を独立に扱えるとして、冒頭の数字で計算します。都市Aは 100 人中 60 人で 0.60、都市Bは 100 人中 50 人で 0.50。根号の中は 、平方根は 0.07 です。半幅は 。
差の点推定 0.10 に対して、区間は −0.037 から 0.237。0 をまたぎました。標本では 10 ポイントの開きが出ているにもかかわらず、母比率については「Aのほうが高い」ということさえ言えません。区間の左側には、Bのほうが 3.7 ポイント高いという可能性まで含まれています。
では、同じ 60% と 50% が各 400 人の調査で出ていたら。根号の中は 、平方根は 0.035、半幅は 。区間は 0.031 から 0.169 で、今度は 0 を含みません。母比率に差があると考えられます。
比率も差もまったく同じなのに、結論が入れ替わりました。差が本物かを決めているのは差の大きさだけではなく、その差を支えている人数でもある——2つの調査を並べると、そのことがはっきりします。片方の調査に付く幅の話は 標本誤差 で見ましたが、差を見るときはその幅が2つ分重なるので、なおさら人数が要ります。逆にいえば、100 人ずつの調査で「差はなかった」と報告するのは、調べ足りなかったことを差がないと言い換えているだけかもしれません。
母比率の差 の信頼区間で、根号の中に入る式はどれですか。
2つの群を調査して、母比率の差の 95% 信頼区間が −0.03 以上 0.15 以下となりました。結論として適切なものはどれですか。
母比率の差の区間推定を行うために必要なことはどれですか。