重さの平均が表示どおりでも、個体ごとの散らばりが以前より大きくなれば、規格から外れる製品は増えます。そこで平均ではなく散らばりを問うのが母分散の検定で、母分散が指定した値 に等しいといえるかを標本から判断します。帰無仮説は 、対立仮説は (両側)か、増減の向きを定めた片側です。
手元にあるのは、標本から計算した不偏分散 です。ただし と を直接見比べても、どれだけ離れていれば違うと言ってよいのかは決まりません。そこで母集団が正規分布に従うことを前提に、両者の比の形へ直します。帰無仮説が正しいとき、この量は自由度 の カイ二乗分布 に従うからです。

山の頂点は 5(自由度から 2 を引いた値)で、平均 7 の位置(破線)とは一致しません。右へ長い裾を引くぶん、平均が頂点より右へずれるからです。この非対称さは境界にも表れ、破線から下側の 1.69 までは 5.31、上側の 16.01 までは 9.01 と等距離になりません。そのため棄却域は、上側確率点 の表から上側確率 と の点を別々に読み取り、 または とします。
片側検定なら、p値 は観測した より外側の裾確率です。このページで使う、上下に ずつ置く等裾の両側検定では、下側確率と上側確率の小さいほうを2倍し、1を上限とした値を両側p値と定めます。カイ二乗分布は非対称なので、観測値から左右へ同じ距離の点を取る方法ではありません。
もうひとつ、この検定は正規母集団という前提に強く依存します。母平均の検定 なら、標本を大きくするほど 中心極限定理 により標本平均の分布が正規分布に近づくので、母集団の形が多少ずれていても結論は大きくは狂いません。母分散の検定にその支えはなく、裾の重い母集団に当てはめれば、有意水準 5% のつもりが、実際にはそれを大きく超える割合で棄却してしまいます。
ある装置が作る部品の重さは正規分布に従い、これまでは母分散 4 g²(母標準偏差 2 g)で安定していました。装置を更新したので、ばらつきが変わったかどうかを確かめます。更新後の 8 個を測ると 6, 7, 7, 9, 11, 13, 13, 14 g でした。
帰無仮説は 、対立仮説は変化の向きを決めていないので の両側です。標本平均は g、偏差 の2乗和は 、不偏分散は g² になります。
自由度は 。カイ二乗分布表から ・ なので、有意水準5%の棄却域は 1.69 より小さい側と 16.01 より大きい側の2か所です。17.5 > 16.01 で上側に入りましたから帰無仮説を棄却し、ばらつきは 4 g² のままとは言えないと判断します。
水準を 1% に下げると、上側の境界は まで遠のくので棄却できません。同じことは確率でも確かめられます。17.5 より上側の確率は約 0.014 で、等裾の両側p値は小さいほうの裾確率を2倍した約 0.028 です。したがって 5% では棄却し、1% では棄却しないという境界での判定と一致します。
正規母集団について を検定するとき、用いる検定統計量とその帰無分布の組み合わせはどれですか。
正規母集団から大きさ 10 の標本をとったところ、不偏分散は 6 でした。 を検定するときの検定統計量の値はいくつですか。
正規母集団から大きさ 8 の標本をとり、有意水準5%で母分散の両側検定を行います。自由度 7 のカイ二乗分布の上側 2.5% 点が 16.01、上側 97.5% 点が 1.69 のとき、棄却域はどれですか。
母分散の両側検定におけるp値について、正しい説明はどれですか。
母分散の検定を行ううえで欠かせない前提はどれですか。