母集団 から一部を取り出して調べると決めたとして、では誰を取り出せばよいのでしょうか。取り出し方を間違えると、いくら人数を増やしても母集団とは違う姿が見えてしまいます。
確率的な仕組みによって 標本 を取り出すことを無作為抽出といいます。なかでも、母集団から大きさ の標本を選ぶすべての組合せが等しい確率になる方法を単純無作為抽出といいます。このとき各要素の選択確率も等しくなります。
無作為は「でたらめに」ではなく、どの対象も等しい確率で選ばれる、という意味です。人が手を動かして選ぶ以上、選ぶ人の都合や好みは必ず入り込みます。それを断ち切るために、選ばれる確率をあらかじめ等しくしておく——そのための仕組みが無作為抽出です。したがって「特に意識せず適当に選んだ」は無作為抽出になりません。
次はどれも偏りを生みます。来店した先着100人に聞く/店の交流サイトで回答者を募る/平日の昼間に電話をかける/担任が推薦した生徒を選ぶ。共通しているのは、母集団の一部の人だけが選ばれやすい、あるいはそもそも選ばれる機会がない、という点です。「たまたま集まった人」と「等確率で選んだ人」は違います。
実際に等確率を実現するには、母集団の全員に通し番号を振り、番号のほうを 乱数表 や計算機の擬似乱数で選びます。選ぶ相手ではなく番号を選ぶ、というひと手間が、抽出を人の判断から切り離します。
9クラス各40人・計360人の学年から、大きさ45の標本を単純無作為抽出します。手元にあるのは0以上1未満の擬似乱数 を1つずつ発生させる機能だけ、としましょう。
たとえば なら で、小数点以下を切り捨てて 180、1を足して 181 番の生徒が選ばれます。360倍するのは1〜360の全番号に同じ幅を割り当てるため、1を足すのは切り捨ての結果が 0 から始まるためです。
ここで「各クラスから5人ずつ選べば公平だ」と考えたくなります。これはクラスで区切ってから選ぶ 層化抽出法(母集団をグループに分け、各グループから抽出する方法)であって、単純無作為抽出ではありません。方法として成り立ちますが、全体から直接選ぶのか、いったん区切るのかは別の設計です。いっぽう「各クラスの1番から5番まで」は等確率ですらないので、そもそも無作為抽出になりません。
単純無作為抽出の説明として最も適切なものはどれですか。
あるスーパーが会員全体の満足度を偏りなく調べます。調査方法として最も適切なものはどれですか。
360人の学年全員に 1 から 360 の番号を振り、0以上1未満の擬似乱数 を使って標本を選びます。番号の作り方として正しいものはどれですか。
正しく無作為抽出した標本でも、母集団の値とぴったり一致するとは限りません。この説明として最も適切なものはどれですか。