ひよこ統計

層化抽出法

統計検定2級

層化抽出法は、母集団 を重なりのないグループ(層)に分けたうえで、各層から 無作為抽出 を行う方法です。層をまたいで選ぶことはせず、どの層からも必ず決めた人数を確保します。

母集団全体から直接選ぶと、層の構成比は偶然によって上下します。3年生が全体の2割なら標本でも2割前後になるはずですが、1割のときも3割のときもある。層に分けて人数を固定しておけば、この揺れは初めから起こりません。標本の値のばらつきのうち、層の構成比のずれに由来する分がまるごと消えるので、同じ 標本の大きさ でも推定の精度が上がります。

各層に何人を割り当てるかは、層の大きさに比例させるのが基本です。

nh=n×NhNn_h = n \times \frac{N_h}{N}
nh n_h :第 h 層から選ぶ人数、n n :標本全体の大きさ、Nh N_h :第 h 層の大きさ、N N :母集団の大きさ

配分の仕方が決まれば、あとは層をどう切るかです。そしてこの切り方が、方法の成否をそのまま決めます。基準には、調べたい事柄と関係の強い性質を選びます。学習時間を調べるなら学年、収入を調べるなら職業や地域、といった具合に選びます。

逆にいえば、関係の薄い基準で分けても精度は上がりません。層の間に差がなければ、層に分けようと分けまいと標本のばらつきは同じで、手間の分だけ損になります。「層の間では値が違い、層の中では似ている」ときに効果があります。

全校500人の高校で、1日の学習時間の平均を50人から推定します。学年ごとに学習時間が違いそうなので、学年を層にとります。

層(学年)層の大きさ割り当てる人数
1年200 人20 人
2年200 人20 人
3年100 人10 人
合計500 人50 人

3年の割り当ては 50×100500=10 50 \times \frac{100}{500} = 10 人。他の学年も同じように計算して、20人・20人・10人となります。

この学校の学習時間が、1年で平均2時間・2年で3時間・3年で5時間だったとしましょう。母平均は 200×2+200×3+100×5500=3 \frac{200 \times 2 + 200 \times 3 + 100 \times 5}{500} = 3 時間です。

層化抽出なら、標本の学年構成は必ず 20 対 20 対 10 になります。いっぽう全体から直接50人を選ぶと、たまたま3年が15人・2年が15人・1年が20人という標本になることもあります。学年ごとの平均をそのまま使って計算すると 20×2+15×3+15×550=3.2 \frac{20 \times 2 + 15 \times 3 + 15 \times 5}{50} = 3.2 時間となり、母平均から 0.2 時間ずれます。ずれの原因は学年構成が母集団と違ったこと、それだけです。

もちろん層化抽出でも、同じ学年の中に長い人と短い人がいる以上、推定値が 3 ちょうどになるとは限りません。消えるのは学年構成のずれに由来する分だけです。それでも、学年によって学習時間が大きく違うこの学校では、消える分がそれなりに大きくなります。

入門問題

全 3 問
問 1

層化抽出法で比例配分を行っても、なお残るずれはどれですか。

問 2

ある会社の社員は本社600人・工場400人の計1000人です。ここから100人を層化抽出し、層の大きさに比例して割り当てるとき、各層から選ぶ人数はどれですか。

問 3

層化抽出法によって推定の精度が上がるのは、どのような場合ですか。