ひよこ統計

処理群と対照群

統計検定3級統計検定2級

実験では、調べたい条件を割り付けた群と、それを割り付けない群を並べて結果を比べます。前者を処理群、後者を対照群といいます。従来どおりのやり方を続ける群を対照群に置くこともあります。対照群は、処理を割り付けなかったらどうなっていたかを示す基準になります。処理群で測った値は、この基準と並べて初めて意味を持ちます。

対照群を置かずに処理群だけを測ると、処理の前後で結果が変わったという事実しか手に入りません。その間には季節が移り、対象は手順に慣れ、測り方も少しずつ変わります。処理を割り付けなくても同じだけ変わっていたかもしれない——この可能性を残したままでは、変化した分を処理によるものだと言えません。では比べる相手をどう選ぶのか。水温がアオコの発芽率を変えるかを調べた実験が、その選び方をそのまま示しています。

水温と塩分濃度を変えた4つの試料の発芽率
試料水温(℃)塩分濃度(%)発芽率(%)
A150.3036
B151.0040
C200.3082
D201.0080

水温の影響だけを見たいなら、塩分濃度が同じで水温だけが違う組を選びます。試料Aに対する処理群は試料Cで、発芽率は 36% から 82% へ上がっています。水温以外は揃っているので、差の原因の候補が水温に絞られます。試料Aと試料Dを並べると水温と塩分濃度が同時に違い、どちらが発芽率を押し上げたのかを言えません。対照群とは、調べたい条件以外が処理群と揃っている相手のことで、この揃え方ができて初めて 因果関係 の話に進めます。

屋外にある駅の階段に足元灯を取り付け、転倒の件数を取り付け前の1か月と取り付け後の1か月で数えました。5件 から 2件 へ減っています。これだけで足元灯の働きだと言えるでしょうか。

同じ2か月間、足元灯を取り付けなかった別の階段でも件数を数えていました。こちらが対照群です。

2つの階段で数えた転倒の件数
階段取り付け前の1か月取り付け後の1か月
足元灯を付けた(処理群)52
付けなかった(対照群)63

対照群でも 6件 から 3件 へ、処理群と同じ 3件 ぶん減っていました。雨や雪の日が少なくなった、駅の利用者そのものが減ったなど、両方の階段に等しく及ぶ変化があったと考えるほうが自然です。処理群だけを見て「足元灯で3件減った」と結論づけていたら、この変化を足元灯の手柄にしてしまうところでした。

この読み取りが成り立つのは、2つの階段が人通りも段数も近く、同じ2か月間を同じ数え方で記録しているからです。もし片方だけ改札から遠い階段を選んでいたら、件数の差は足元灯ではなく人通りの差を映すことになります。対照群を置くとは、比べる相手を用意することであると同時に、その相手を処理以外の点で処理群に揃えることでもあります。

入門問題

全 4 問
問 1

対照群の説明として最も適切なものはどれですか。

問 2

屋外の階段に足元灯を取り付け、取り付け前後の1か月ずつで転倒の件数を数えたところ、5件から2件へ減りました。対照群を置いていないとき、このデータだけからは言えないことはどれですか。

問 3

水温と塩分濃度を変えた4つの試料でアオコの発芽率を調べました。試料Aは水温15℃・塩分濃度0.30%、試料Bは水温15℃・塩分濃度1.00%、試料Cは水温20℃・塩分濃度0.30%、試料Dは水温20℃・塩分濃度1.00%です。水温の影響だけを見るには、どの組を比べればよいですか。

問 4

新しいのど飴に、喉の痛みをやわらげる働きがあるかを調べます。対照群の置き方として最も適切なものはどれですか。