くじの説明書きには、1等が 20%、2等が 30%、残りはハズレと書かれています。この表示が正しいなら、50人が1回ずつ引いたときの内訳も、おおよそ決まった人数に落ち着くはずです。適合度検定は、区分ごとに数え上げた度数が、想定した確率分布から生じたものと見てよいかを判定します。
| 1等 | 2等 | ハズレ | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 観測度数 | 6 | 9 | 35 | 50 |
| 期待度数 | 10 | 15 | 25 | 50 |
帰無仮説は「説明書きどおり、1等 20%・2等 30%・ハズレ 50% で当たる」です(帰無仮説)。この仮定のもとで 50人を割り振った人数が期待度数で、、、 と求まります。実際に数えた観測度数とのずれを区分ごとに2乗し、期待度数で割って足し上げた カイ二乗値 が、この検定の統計量です。なお、ここで数えているのはくじの等級という1つの分類に沿った度数だけです。2つの分類を組み合わせてその関係を調べる場合は 独立性の検定 に移ります。
帰無仮説が正しく、度数が十分にあれば、この統計量は近似的に自由度 の カイ二乗分布 に従います。区分の数 からまず 1 を引くのは、各区分の度数を足すと全体の人数に一致するという制約があるためで、 個が決まれば残りは自動的に決まります。期待度数を求めるのにデータから母数を推定したなら、推定した個数 だけさらに引きます。くじの例は確率が説明書きで与えられていて推定が要らないので、自由度は です。棄却域を上側だけに置くのは、観測度数と期待度数がよく合うほどカイ二乗値が 0 に近づき、ずれが大きいほど値が大きくなるからです。小さい値は帰無仮説と矛盾しないので、下側に棄却域を作る理由がありません(両側検定と片側検定)。
p値 も上側の確率だけで求めます。下のくじの例ならp値は約 0.018 で、有意水準5%の判定はこの値と 0.05 を直接比べて行います。片側の確率を2倍して両側のp値にする手続きは、上下の裾に棄却域を分ける検定のためのもので、上側しか使わないこの検定には出番がありません。
上の表の数字で実際に計算してみます。観測度数から期待度数を引くと、1等は 、2等は 、ハズレは です。
| 1等 | 2等 | ハズレ | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 観測度数 − 期待度数 | −4 | −6 | +10 | 0 |
| 1.6 | 2.4 | 4.0 | 8.0 |
差をそのまま足すと になります。合計が 50人に一致する以上、多い側と少ない側は必ず打ち消し合うので、2乗してから期待度数で割ります。その合計 1.6 + 2.4 + 4.0 = 8.0 がカイ二乗値です。
自由度2のカイ二乗分布の上側5%点は 5.99 なので、8.0 > 5.99 となり、有意水準5%で帰無仮説を棄却します。説明書きどおりの確率で当たっているとは考えにくい、という結論です。合計への寄与が最も大きいのはハズレの 4.0 で、ハズレが想定より 10人多く出たことが棄却の主な理由です。ただし上側1%点の 9.21 は超えていません。同じデータでも、あらかじめどこに線を引いておいたかで結論は変わります。
適合度検定が調べているものとして最も適切なものはどれですか。
1個のさいころを 60 回投げ、出た目の度数が「どの目も確率 」という想定に合うかを適合度検定で調べます。検定統計量が近似的に従うカイ二乗分布の自由度はいくつですか。
1時間あたりの来店客数を 0人・1人・2人・3人以上 の4区分にまとめ、ポアソン分布に当てはまるかを適合度検定で調べます。ポアソン分布の平均は分かっていないため、同じデータから推定して期待度数を求めました。自由度はいくつですか。
適合度検定の棄却域について、正しい説明はどれですか。
適合度検定を行うときの前提として正しいものはどれですか。