母数(母平均や母比率のように、母集団の分布を決めている値)は普通わかりません。わかるのは手元の 標本 だけです。そこから母数の値を1つの数値で言い当てることを点推定といい、答えとして出した数値を推定値と呼びます(この2つの呼び分けは 推定量と推定値 で詳しく扱います)。
何を使って言い当てるかは、知りたい母数ごとに決まっています。
| 知りたい母数 | 点推定に使う値 |
|---|---|
| 母平均 | 標本平均 |
| 母比率 | 標本比率 |
| 母分散 | 不偏分散 |
母平均と母比率は素直で、標本で同じものを計算すればそのまま使えます。母分散だけ事情が違います。標本のばらつきは、母平均のまわりではなく標本平均のまわりで測ることになるので、そのままでは小さめに出る。そこで ではなく で割って埋め合わせたものが不偏分散です。
なぜ で割ると埋め合わせになるのか、その理屈は 不偏性 で扱います。
点推定は1つの数値を返すだけで、その数値が母数からどれだけ離れているかは何も語りません。しかも別の標本を取れば別の値が出るので、ぴたりと当たることはまず期待できません。だからこの先、幅を付けて答える 信頼区間 が必要になります。
同じ型の電池を5個取り出し、寿命(時間)を測ったところ 18, 20, 19, 22, 21 でした。
母平均の推定値は標本平均で、 時間。母分散の推定値は、偏差 を2乗して足し、 となります。割る数が 5 ではなく 4 である点に注意します。
無作為に選んだ200人のうち50人が「利用したことがある」と答えました。母比率の推定値は です。
どちらの推定値も、標本を取り直せば別の数値になります。20 時間や 0.25 という答えは、そのとき手元にあった標本から出た1点にすぎません。この「取るたびに変わる」という性質を正面から扱うのが、次のページです。
点推定の説明として正しいものはどれですか。
ある母集団から無作為に5個を選び、4, 6, 8, 10, 12 という値を得ました。母分散の点推定に使う不偏分散はいくつですか。
点推定について正しいものはどれですか。