公正なさいころを同じ条件で独立に繰り返し振っても、次の目を事前に確定することはできません。ところが600回も振れば、どの目もおよそ100回ずつ出ることが多くなります。個々の結果は確率的に生じ、その繰り返しには確率の法則が現れることが、統計の出発点になっています。
結果があらかじめ一意に決まるのではなく、確率的な仕組みに従って生じる性質をランダムネス(無作為性)といいます。どの結果がどの確率で起こるかという法則は定められるので、ランダムであることと、でたらめで手がかりがないことは同じではありません。
同じ確率法則に従う独立な試行を多数回繰り返したとき、出方の割合が理論上の確率へ近づくことを保証するのが 大数の法則 です。これはランダムネスそのものの定義ではなく、一定の条件のもとで確率モデルから導かれる性質です。
調査や実験では、このランダムネスをわざわざ持ち込みます。無作為抽出 で選ぶ、割りつけをくじで決める、といった操作です。狙いは3つあります。第一に、選ぶ人の都合や好みが入り込む余地をなくすこと。第二に、こちらが気づいていない要因まで、選んだ集団のあいだで平均的に均されること。
そして第三が、いちばん見落とされやすい狙いです。選び方に確率の仕組みを入れておくと、結果がどれくらいずれうるかを計算できるようになります。標本誤差 に幅を付けられるのは、抽出そのものが確率のルールに従っているからにほかなりません。
ある数の並びがランダムかどうかは、並びを眺めても決められません。規則が見つからないという事実は、規則が無いことの証明にならないからです。そのため実務では、出来上がった列を検分するかわりに、どう作られたかのほうを保証します。乱数表 や計算機の擬似乱数を使うのは、まさにそのためです。
ランダムネスは無秩序とも違います。個々の結果は確定できなくても、確率法則は定められます。同じ確率法則に従う独立な試行を繰り返す場合には、長い目で見た割合が安定するという秩序も現れます。
公正なコインを20回投げて、表裏の並びを記録します。ここで「同じ面が4回以上続く」ことが起きる確率を考えてみます。直感では、めったに起きない出来事に思えるかもしれません。
4回続きが始まりうる位置は、1回目から17回目までの 17 か所です。ある位置から4回続く確率は、表表表表と裏裏裏裏の2通りぶんで 。これを17か所ぶん単純に足すと となり、確率が1を超えてしまいます。位置どうしが重なりうる、つまり排反でないため、加法定理 をそのまま当てはめられないのです。
正しく求めるには、重なりを整理して並びを数え上げることになります。手順はここでは省いて結果だけを示すと、4回以上続く確率はおよそ 0.77、5回以上でもおよそ 0.46。20回投げれば、4連続はむしろ起きるのが普通で、5連続もほぼ半々ということです。
いっぽう、人に「コインを投げたつもりで20個書いてください」と頼むと、書かれた列には長い続きがまず現れません。3回も続くと不自然に感じて、次は逆の面を書いてしまうからです。その結果、本物より続きの短い、いかにも「ばらけた」列ができあがります。
ここから2つのことが言えます。1つは、5回続いたからといってコインが偏っている証拠にはならないこと。もう1つは、見た目のランダムらしさは判定に使えないということです。むしろ整えられた列のほうが、いかにもそれらしく見えます。だから確かめるべきは並びの見た目ではなく、その列がどう作られたかのほうになります。
ランダムネスの説明として最も適切なものはどれですか。
標本を選ぶときに、調査員の判断ではなく乱数を使う理由として、最も本質的なものはどれですか。
公正なコインを20回投げたところ、途中で表が5回続きました。この記録について正しいものはどれですか。なお、20回のうちに同じ面が5回以上続く確率はおよそ 0.46 です。